【参加者レポート】第9回縁起でもない話をしよう会「今の虫歯の治療法/お口から食べられなくなったら」
2018年7月に鹿児島市和田にある妙行寺(みょうぎょうじ)で始まった”縁起でもない話をしよう会”。(過去の内容については、下記リンクをご覧ください)
第9回が2019年11月20日(水)に開催されました。
今回も進行役はひさみさん。寒い中、遠くは湧水町や南さつま市の方も含め約30名ご参加くださいました。
今の虫歯の治療法
第9回の話題提供者は、太田歯科医院院長の太田博見さん。
医師のお父さま、看護師のお母さまの間に1964年に東京でお生まれになられました。お父さまの夢であった在宅医療開業の為、小学校3年生のときに伊豆へ、小学校6年生のときにお父さまが亡くなった後はお母さまの故郷の秋田で暮らされたそうです。
鹿児島大学歯学部を出られ、鹿児島市鴨池に太田歯科医院を開業され、現在は歯科医院だけでなく、デイサービスおたふく、訪問看護ステーション龍宮も運営されていらっしゃいます。
日本は、他の外国とは異なり、すべての年代で公的保険に歯科が入っています(世界で唯一)。しかも元値も海外と比較するとかなり安い!
日本では、すべての国民が公的保険を使って歯科医療を安価で受けることができる仕組みが構築されています。
ですが、公的保険を使って治療するには、厚生労働省が定めた保険ルールに沿って治療をしなければならないため、最新の治療法だと保険適用外になってしまいます。
世界の治療法は毎年変化していて、この30年で治療成功率は大きく向上し、中でも特に向上したのは、大きな虫歯ができたときに行う”歯の神経を取る治療”とのこと。
日本では、保険治療制度のおかげか、1987年と2016年を比較すると、現在歯数(入れ歯等にならず残っている自分の歯の数)はどの世代でも増加傾向で、特に75~79歳の高齢者は残っている歯が多くなっています。
ですが、歯周病(4mm以上の歯周ポケットを有する者の割合)はほぼすべての年代で増加傾向で、特に高齢者は顕著!
これからは、治療中心から、治療・管理・連携型の歯科治療の必要性が増してくると予想されているそうです。
現在、私は虫歯ができていて歯医者さんに行かねばならないのですが(-_-;)、大きな虫歯ができたとき、神経をとる治療(根幹治療)をしますよね?
歯の中には、神経や血管を含む”歯髄”という組織があって、虫歯などにより歯髄がバイキンに感染したり壊死したりすると、歯髄を取り除く根幹治療が必要になります。←あの嫌な治療ですよ、あの( ;∀;)
日本では保険診療で2,000~8,000円ですが、欧米諸国では150,000~200,000円、安い東南アジアでも80,000円前後かかるそうです。
保険が適用されていて安価な日本の治療はお財布的には非常に助かるものの、海外の最新の治療でより成功率が高く、早く治る治療を受けたい気も・・・。
※日本でも米国式の保険外治療や米国専門医による保険外治療を受けられる歯科があるそうです。(海外並みの金額)
歯石取りも、日本では歯科衛生士が行うのが一般的で1本あたり550~650円ですが、北米では歯科大生で10,000円、歯周病専門医だと80,000円かかるそうです。
うーむ。
お口から食べられなくなったら
歯と密接な関わりがあるのが食事。
もしもお口から食べられなくなったら・・・お腹に直接栄養を送る胃瘻(いろう)や、鼻から胃へチューブを通してそこから栄養を送る経鼻栄養を選択しますか?それとも「お口から食べられる間が寿命」だと考えますか?
胃瘻や経鼻栄養は、あやまって食べ物や飲み物や唾液を気道に飲み込んでしまう誤嚥(ごえん)をする心配がないという良い点があります。
もしものときのことを自分が元気なうちに決めておく必要があります。
決めておかないと、自分が望む治療が受けられなかったり、家族が意思決定を迫られて辛い思いをしたりします。そして、一度延命処置を選択したら、中止するのが難しいのです。
語り合ってみようタイム
話題提供者の話を聞いた後は、参加者同士語り合う時間です。今回の問いは2つ。
① もしも虫歯ができて、神経をとらなければならなくなったとき、あなたは日本の保険治療を受けますか。それとも世界標準の治療を受けますか。
②胃瘻や経鼻栄養になる場合として次の3つがあげられます。
1.意識が戻らず、口から食べられなくなった場合(回復の見込みなし)、2.誤嚥性肺炎を繰り返して体力が落ちてきた場合(会話はできる)、3.認知症の進行に伴って誤嚥性肺炎を起こすようになった場合(だんだん本人と意思疎通ができなくなっていく)。
それぞれの場合において、あなたは胃瘻や経鼻栄養を選択しますか。
参加者同士、真剣に、楽しく語り合いました。
私だったら、①は、仕方なく日本の治療を受けるかな。(お金持ちだったら外国の治療を受けたい。)②は、お口から食べられなくなったら無理して栄養をとらなくてもいいと思っているので、あと少し生きていたい特別な理由がある場合は除いて、胃瘻や経鼻栄養は選択しません。
これを思い出すと、口から何かを入れる喜びって大事だなと思うのです。
知らないことを知ると人生の選択肢が増えます。問いかけられると普段考えることがない大切なことを考えるきっかけになります。皆様、縁起でもない話をしよう会をうまく使ってください。
縁起でもない話をしよう会、次回以降のお知らせ
◆10回目◆
日時:2020年3月11日(水)19時~21時
話題提供者:桑迫伸吾氏(遺品整理・生前整理士)
◆11回目◆
日時:2020年5月13日(水)19時~21時
話題提供者:井崎亮子氏(看護師・SCDスマイルクラブ(鹿児島県脊髄小脳変性症・多系統萎縮症友の会)副世話人代表))
会場は妙行寺の門徒会館(鹿児島市和田1-4-1)です。境内に駐車できます。予約も参加費も必要ありませんので、時間のご都合のつく方はぜひご来場下さいませ。
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